浦和エメルソンがJ今季MVP!

MVPを受賞した浦和FWエメルソンは、浦和サポーターのいる観客席に向かって指を突き出した(撮影・鈴木豊)

 異例の選出となった。03年度のJリーグ・アウォーズが15日、横浜アリーナで行われ、最優秀選手に浦和FWエメルソン(22)が選ばれた。年間、ステージ優勝チーム以外からの受賞は95年の名古屋FWストイコビッチ以来2人目。完全制覇の横浜からは岡田監督が最優秀監督賞、DF那須が新人王に選ばれた。選考方法について異論も出たため、鈴木昌チェアマンは来年度から選考方法を見直す。

 異例の受賞にも場内は割れんばかりの拍手に包まれた。得点王でもなければ、リーグ優勝したわけでもない。後押ししたのはピッチ上ですごさを肌で感じた選手や、怖さを実感した監督たちだ。エメルソンが現場投票の結果、断然トップの票数で95年のストイコビッチ(当時名古屋)以来というV逸チームからMVPに輝いた。

 「うれしくて心臓発作を起こしそうになった。普段の練習や試合を認めてもらえた」。MVPは優勝チームから、という前例を覆す受賞にエメルソンは素直に笑顔。完全Vを達成し、賞独占を狙った横浜勢も脱帽。札幌時代に育てられた岡田監督にも、最高の恩返しとなった。

 エメルソンがいなければ、浦和史上初タイトルとなったナビスコ杯優勝もなかった。準々決勝から決勝までの5試合で8得点の大爆発。リーグ戦でも3位の18得点を挙げ、優勝の懸かった第2ステージ終盤の清水、名古屋戦を出場停止になるとチームも連敗するなど、良くも悪くも浦和躍進の原動力となった。何より今季、計26得点したリーグ戦、ナビスコ杯の18試合すべてで負け知らず。不敗神話をつくった。

 あまりの活躍ぶりに、スペインの名門バルセロナが獲得を考え、日本代表待望論から国籍取得問題さえ浮上している。「ブラジル人なのでセレソンとしても出たいが、日本のために頑張るのも悪くないと思う。話をするのは早いが、前向きに考えている」。将来の代表入りも視野に入れ、Jの枠を超えた22歳の逸材が日本で花開いた。

[2003/12/16/09:10 紙面から]

写真=MVPを受賞した浦和FWエメルソンは、浦和サポーターのいる観客席に向かって指を突き出した(撮影・鈴木豊)